特注ケーキのご紹介

濃い抹茶と
ホワイトチョコレートのケーキが食べてみたいとのご要望。

クリームにはホワイトチョコレートの甘味とミルキーさの力を借りて
思いっきり「濃い」抹茶のケーキをお届けしました。

10年以上前に勤めていた場所で生み出したケーキがあります。
私の中では随分と思い入れのあるレシピ。
だから、ここぞという時にしか、それは作らない。
今回のオーダーにはその抹茶バージョンをご用意した。
このお客様には絶対食べてほしい!と思ったから。

当時、新ブランド立ち上げの新商品を必死で試作した光景と感情が胸をよぎり、
作りながら懐かしい気持ちになった。
そして今もそこで受け継がれて作られていることや
他の場所で派生していることを最近知った。
それは
パティシエールとして、自分が存在していた「証」みたいで嬉しい反面
なんだか分からないけれど、消しゴムで消したくなった。
見えないところで大切なものが壊されていく感情に少し似ているかもしれない。

今、自分のお店を持って
自分の思いや
作るものに共感してくださる方が集まるようになって
自分の目の届くところで
人にも、作るものにも、
私自身がきちんと「向き合う」ことをしている。
それが価値だと思うから。

毎回ご要望が違う「オーダーケーキ」を作りつづけるのは、
工業生産的、商業的に、同じものを機械的に生産するのでなく
基軸が相手の思いや場面に合わせたケーキをお届けしたいから。
ケーキが特別なものだと私は知っている。
パティシエールの私だからできること。
毎日誰かが喜んでくれている。
それを実感させてもらっている。