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特注ケーキのご紹介

苺のタルトを作っていると
幼い頃、
ぽかぽか暖かい夕暮れに
祖母に連れられて畑に行って
姉妹弟たちと競争で苺を摘んだのを思い出す。
大きな苺をこっそりその場で食べていたので
夕ご飯はお残しして母に怒られる
それでもデザートの苺が楽しみだから
頑張ってご飯を終わらせていた。

洗った苺は母が分配権を持っていて
ヘタをとってお皿に盛り分けてくれる
子供達は雛鳥みたいにその周りに集まっていた。
もちろんどれが一番多いか見逃さないために。

まだ帰宅していない父にはいつもなんでも特盛。
お父さんだから。
それから祖父に苺のお皿を渡しに行って
祖母には何回聞いても
「苺が好きじゃないからみんなで食べていいよ」
と言ってくれていた。
自分が食べないのにもかかわらず
孫たちのために苺を作ってくれる優しい人だった。

子供達は、自分が一番だと思う
苺てんこ盛りのお皿をそれぞれに選ぶと
最後に母が、
小粒で形の悪い苺を少しだけ自分用に分けていた。
そういうのを見て私は育った。

メニュー考案に行き詰まって
「苺ってなんだろう」
って思わずインスタで呟くと
妹が「苺は私たちには特別な食べ物だよ」って
昔のことを思い出させてくれたので
今回の苺のコースも
とにかくワクワク楽しい気持ちになるような
そんな仕上げになっています。